​Shigetoshi Furutani

私たちは、これまでに体験してきたことを脳という記憶装置に記録して、いつでも必要なシーンを思い出すことが出来ます。しかし、その像は形（実像）を持たず個人の頭の中で感覚として再生されます。”MEM CUBE”は、その像を再現し、可視化する試みです。

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記憶を呼び覚ますとき、目を閉じて脳のなかの記録の海にダイブして欲しい場面を手繰り寄せ、そこでの思い出や経験に思いを馳せます。思い出はきらびやかに輝いていますが、記憶はときに曖昧で、抜けがあり、とても壊れやすいものでもあります。ある時は全く違うものに置き換わっていたり、さらには別の記憶と混ざっていたりすることもあります。本作で使用している　3Dスキャンデータはスマートフォンを使ってスキャンしており、完全なものではありませんが、その様に、形の抜けや歪みがあり、ディテールが欠損したデータは、記憶が持つ特徴と多くの共通項があることに着目しました。

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本作は、感覚で認識でき、確かに存在しているのに目に見えない記憶という不確かな像を、自身が撮り貯めた3Dスキャンデータを使用して、記録として可視化し、映像としてアーカイヴした作品です。