昔の写真を飾っている場所を見たときに、現在とその写真が撮影された当時を比べる為にその場所 を注意深く観察したり、当時の人々の生活などを想像し、思いに耽ることがあります。写真やイラストな どの媒体は、当事者の記録や記念としてその場の記憶をアーカイブ化すると共に、第三者に対しても、 写真が撮られた瞬間だけでなく現在までの時間に想いを廻らせ、歴史を共有するという機能も備えて います。この作品はその範囲を拡大し、ある地域の様々な時代の建物や人々の記録を一枚の画面に 再構築し、アーカイブしたシリーズです。構図法は日本の洛中洛外図などからヒントを得ており、部分 的に不完全な遠近法や、空白なスペースを残すことによって、鑑賞者が想像を膨らませる隙間を与え、 脳内での広がりを助長しています。

"A House Of Gloucester Road"はウエストロンドンに位置するGloucester Roadを中心にKensingtonエリアの画像をコラージュしています。この作品は、ロンドンのThe Art Houseのコミッションワー クとして制作されました。

"Create Britain"は、18世紀から19世紀初頭にかけての画像を集めたもので、ロンドンのものを中心に 構成されています。歴史的な事柄としては1707年のグレートブリテン王国の成立から、チャーティズム 運動が活発になる 1840年辺りまでを含んでいます。19世紀中紀は写真技術が飛躍的に進化した時 期でもあり、これ以降は版画資料よりも写真資料が多くなる時期でもあります。